メガネをはずしちゃいけません!
帝「…気に食わねぇ。」


美奈「は?…」


帝「アイツもそうだけど、お前のその顔も。」


こいつ…

ほんとに失礼な奴だな。


美奈「別に、先輩に言われなくたって…好きでこの顔で生まれてきたわけじゃありませんから。」


帝「そういうことじゃねぇよ。」


美奈「?」


帝「お前の、その諦めたような表情が気に食わねぇんだ。」


美奈「え…」


その言葉に私は思わず、先輩を見上げた。


帝「お前はもっと…」



全てを包み込むような
綺麗な真っ黒の瞳に吸い込まれそうだ。




帝「自分に自信…持っていい。」


美奈「!?」



こんな言葉を
山神帝から言われるなんて
誰が予想しただろう。




…でも、

この言葉が、自分に向けられているものだと感じることができないのは
山神帝が、私と紗羅さんを重ねていると知っているから。


どんなに彼が私に執着しようとも
それは所詮…
"私への気持ちではないのだ、と
心のどこかで思ってしまう。


…だからどうした、と心の中の私が笑う。



山神帝の気持ちの整理がつくまでの
少しの間、
重ねられることを我慢して
私が私らしくいればいいだけのこと。


そう、

たったそれだけのこと。


美奈「…ありがとうございます。」


窓から見える夕陽だけが、
やけに輝いていた。
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