メガネをはずしちゃいけません!
それからの彩香はすごかった。
前のデートの時もすごいと思ったが
今回はその比ではなかった。
彩香「美奈は色白だから、王道の薄ピンクチークが本当に映えるね!」
彩香「ここにハイライトを入れて、こことここにシェーディングをいれると、ほら!メリハリのある顔になるんだよ~!」
彩香「髪はゆるく巻くね!」
彩香「プロフィール写真は絶対にこのワンピにコート、ヒールって決めてたの!」
美奈「……」
メイクもヘアスタイルも、
そして洋服のコーディートも…
あっという間に、私は文字通り、
完璧に仕上げられていたのだ。
美奈「…彩香…」
彩香「美奈かわいいー!」
美奈「恐れ入りました。」
でも…
美奈「こんなに変わったら、もはや詐欺なんじゃ…」
不安になったことをついつい口に出してしまった。
どう見ても、別人だ。
彩香「わかってないな~美奈は。よく鏡みて?メイクは最低限しかしてないの。」
美奈「そう…なの…?」
彩香に促されるまま、もう一度鏡を見てみる。
たしかに、彩香が言うように、目が特別に大きくなったとか、顔が小さくなったとか、そういうことがあるわけではないことに気がついた。
美奈「…たしかに…顔が変わったわけではない…のかな?」
彩香「そう!!私は、美奈の本来の素質をそのまま活かすためのサポートしかしてないよ!」
…なるほど…
彩香「私は、化けるメイクよりも、その人本来のナチュラルな素質を活かせるスタイリストになりたいから。」
…どこまでも貪欲でまっすぐだ。
美奈「…ありがとう。」
彩香「いえいえ~♪絶対優勝しようね!」
美奈「…そうだね。できる限り努力する。」
…いつか私にも、
彩香みたいに語れる夢ができるのだろうか。
もしもできたのなら、今度は私が
その夢で彩香を支えられたらいいな…
そんなことを、ふとおもった。
彩香「よろしい!!それじゃ早速写真を撮って、プロフィールも作っちゃおう!」
こうして私達は、夢中で準備に没頭したのだった。