一段飛ばしのハイヒール

玄関のドアを閉めるなり、間宮さんは私を抱きしめる。



「間宮さん?」

「ずっと待ってた。こんな瞬間」



抱きしめられた腕の中から、間宮さんを見上げる。

どんな表情をしているのか、見たかったから。



間宮さんは意外にも、泣きそうな表情に見えた。



思わず手を伸ばして、間宮さんの頭を撫でる。



「……間宮さん」

「ん?」

「ごめんね」

「もう謝らなくていいから、オレの前から消えないで」



返事をする代わりに、間宮さんの背中にまわした腕で、めいいっぱい間宮さんを抱きしめた。






次の瞬間。

ヒョイッと間宮さんが私を抱き上げた。



「わっ、やだ!重いから!」

「重くないよ」

「靴!靴、履いてるから!!」



そう言っても無駄な抵抗だったらしくて、私を抱っこしたまま間宮さんだけが靴を脱いで、部屋に上がる。



寝室まで抱っこのままで連れて行かれて、ベッドにおろされると、間宮さんの顔が近づいてきた。

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