一段飛ばしのハイヒール
間宮さんの甘くて、優しいキス。
頭の中がボーッとしてくる。
キスをする間宮さんの手が、ゆっくりと足元に触れて、私が履いたままだったバレエシューズを脱がす。
「……ハイヒールじゃなくて、良かった」
キスが止んで、思わず呟く。
「ん?」
「ううん、何でもない」
背伸びしていない。
そのままの私で。
間宮さんに伝えられることが、嬉しかった。
「大好き、間宮さん」
暗い部屋の中でも、わかった。
間宮さんが嬉しそうに笑ってくれたことが。
それだけで。
私、充分幸せだと思えた。
ーーー完ーーー