一段飛ばしのハイヒール
「由花……」
と、耳元で甘い声。
ぎゅうっと腕に力がこもったことが、私にも伝わる。
あぁ、好きだ……。
今日こそは、と思っていたけれど。
(もう言わなくてもいいかもしれない)
嘘をつき通すことも、私なりの愛情かもしれない。
……いや。
いやいやいやいや!!
(それは愛情じゃないでしょう!!)
ときめき成分に負けそうになるけれど、なんとか必死に冷静な自分を呼び覚まし、
「間宮さん、ちょっと、待って!」
と、間宮さんの居心地の良い腕の中から離れた。
「ん?どした?」
そう言う間宮さんがどことなく寂しそうな表情に見えて、急激に罪悪感でいっぱいになる。
「話があって!」
……言った!
切り出した!!
今日こそは、言うんだから!!
私の決意をよそに間宮さんは、
「それ、今聞いたほうがいい?」
と、再び私の体を抱き寄せ、キスをした。