初恋は実らぬものというけれど……ある辺境伯令嬢の場合




結婚式からひと月もしないうちに、それは始まった。
エラ以外に味方のいないロールザイト家で、イヤミを言われたり陰口をたたかれるのは精神的にこたえた。
王家の命令で迎えた嫁に食事を抜くとか暴力をふるったりすることはないが、日に日に扱いはぞんざいになった。
ルーファス様とは会えないままだし、初夜を迎えていない以上、形だけの妻の立場なんてそんなものかもしれない。
与えられた部屋にこもって、ただぼんやりと過ごす日々が続いた。

一番困ったのは、侯爵家に嫁いだはずのルーファス様のお義姉様、ミランダ様がしょっちゅうロールザイト家に遊びにくることだ。
遊びにというより、私をいびりにやってくると言った方がいいかもしれない。

『ロールザイト家は王女様が降下されるくらいの名家なのよ』
『おじい様は宰相を勤めるくらい優秀だったの』
『ルーファスはとても人気があって、釣り書きが山のようにきていたわ』

私の部屋に来ては、お茶会と称して延々と家柄自慢を重ねていくのだ。



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