初恋は実らぬものというけれど……ある辺境伯令嬢の場合




◇◇◇



初めてコーデリアに会ったのは、まだ子どものころだった。

あれはアラン王子のお誕生会に招かれた日だ。
王宮に招かれた大勢の子どもたちがはしゃぎまわっている中で、すみっこに立っていた女の子が目にとまった。

フワフワとした髪の毛、くるんと丸い大きな目、お人形のようにぷっくりとした唇。
緊張した面持ちで辺りを見回している。

(王都で見かけない子だな。どこのご令嬢だろう)

気にかけていたのだが、ちょっと目を離していたら姿が見えなくなってしまった。

(あれ? いなくなった)

慣れない王宮で大丈夫だろうかと心配になり、あちこち探した。

やはり迷子になっていたらしく、つい手をとってしまった。
親が探すだろうから、それまで王宮の庭園でも見せてあげようと思いついたからだ。
父に連れられて幼いころから王宮に出入りしていた僕は、広い庭園も熟知していた。

(きっと誰かが探しに来るだろう)

かわいい女の子となにを喋ればいいのかわからないまま、噴水や綺麗に剪定されたトピアリーを見せてあげる。















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