初恋は実らぬものというけれど……ある辺境伯令嬢の場合


私とエラだけでは限界があるから、ロンに頼んで村から手伝いを頼むことにした。
一日に二~三時間だけでいいから、洗濯や掃除を手伝ってもらえたら大助かりだ。
村のおかみさんたちに、時給で手当てを払うと言ったら喜んで来てくれることになった。
まる一日は無理でも、チョッと働いて小遣いが稼げるのだから彼女たちにとってもいい話のはずだ。

思ったとおり希望者が大勢いたようだ。サリーに人選を任せ、村からくる臨時の働き手の監督を頼んだ。
しっかり目を光らせていれば座っていてもできる仕事だ。
早く腰痛を治してもらわないと、私たちはいつまでもいられないのだから。

環境を整えたら、私とエラは前公爵様であるカルロス様のお世話にかかりきりになった。

始めのうちは身体を清潔にして栄養をとってもらうだけで精一杯だったけど、カルロス様は目に見えてよくなってきた。
森で転んで背中から下半身を痛めたらしいけど、骨折していなかったのが幸いだった。

辺境伯領で使っているのと同じ湿布薬とか痛み止めを作ってみたらとても効いたみたいで、少しずつだが快方にむかっている。
そうなると表情も明るくなってくるし、ポツポツ喋れるようにもなってくる。





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