初恋は実らぬものというけれど……ある辺境伯令嬢の場合


夢はまだ続いているのか。


あどけなかったコーデリアが大人になって、私のそばにいる。

ニコニコと微笑みながら、私になにか食べさせようとしてくる。

『ほら、アーンして』

もう子どもじゃないからひとりで食べられるというのに、いい匂いのするリゾットの誘惑に負けて口を開ける。

『どう? 美味しい?』

とても美味しい。君が食べさせてくれるから、もっと美味しく感じるよ。

『たくさん食べて、早く元気になってね』

もちろんだ。楽しみにしたコーデリアとの新婚生活のために、健康にならなくては。
ふたりで出かけよう。子どもを作ろう。そして末永く、幸せに暮らすのだ。

『さ、汗かいたでしょ。着替えなくちゃ』

コーデリアがためらいもなく私のシャツを脱がそうとする。
いや、ダメだろ。
俺たちは初夜さえ迎えていないだ。男の体を見ちゃダメだ。

コーデリア、その手を止めてくれ。いや、もう脱がさないでくれ。

コーデリア!




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