初恋は実らぬものというけれど……ある辺境伯令嬢の場合
ようやくルーファス様の熱が下ってきた。
ある朝、うっすらと目を開けたルーファス様が「ここは?」と呟く。
おじい様の別荘で倒れた記憶がないみたいだ。
「こちらにいらっしゃった日にお倒れになったんですよ」
そういえば、もう二週間になる。
「そうか……」
すぐに体を起こしてベッドから下りようとされるが、すぐによろけてしまった。
「まだ無理です」
「だが、行かなくては……」
「いけません! もっと体力を取り戻さないと、また倒れますよ!」
少し厳しく言ったけど、ルーファス様にも伝わったみたい。
体調がよくないと考えてもロクな答えが出ないし、思うような行動だってできないのだ。
「手紙は届いてないか?」
「カルロス様にお尋ねしてみますね」
「ああ、すまない」