初恋は実らぬものというけれど……ある辺境伯令嬢の場合
「「よくない!」」
カルロス様とルーファス様の声がダブって聞こえた。
「あの」
「わがロールザイト公爵家の恥である。誠に申し訳ない」
カルロス様が頭を下げる。
「あ、そんなことなさらないでください! 悪いのは私です」
「いや、君はなにも悪くない!」
ルーファス様が私の手を握りしめている。夢みたいだけど、強い力を感じるから現実なんだ。
「せっかく幼い頃に会った君を妻に迎えられたのに、辛い思いをさせてしまった。本当にすまない」
「ルーファス様」
「庭で話したことは本当だ。王宮で偶然会った日から、君のことを忘れたことはなかった」
「私も覚えています。お庭を一緒に歩いたこと」
私の言葉にルーファス様は驚いた顔をなさったけど、すぐに破顔した。
「よかった! 同じ気持ちだったんだ!」
いつの間にか応接室には私とルーファス様のふたりだけになっていた。
カルロス様とエラは、そっと出ていってくれたみたい。
「コーデリア、今さらかもしれないが離婚なんてしたくない」
「でも」
「もう姉は二度と公爵家に入れない。出入り禁止にした」
「ええっ⁉」