初恋は実らぬものというけれど……ある辺境伯令嬢の場合
すっかりお元気になられたカルロス様に、こっそりとお尋ねしてみた。
「いつからわかっていらっしゃたのですか?」
「お前さんの湿布薬じゃよ」
「湿布?」
「あれが辺境伯領だけで使われていることを知っていたんじゃ」
「はあ」
それだけでわかったなんて、すごいなと思っていたら続きがあった。
「辺境伯家に手紙を出す時に、リアの髪の色や目の色も教えて欲しいと頼んでみた」
「まあ!」
「丁寧に姿絵を送ってくださったよ」
姿絵なんてあったかなと、描いてもらった記憶が私にはない。
「嫁いだ後で、お父上が画家に描かせたらしい」
「お父様が……」
「リアのことを忘れないためじゃろうなあ」
カルロス様は、嫁がせてから寂しくなって描かせたんだろうとおっしゃった。
信じられないけど、お父様は私を娘として認識してくださっていたようだ。