初恋は実らぬものというけれど……ある辺境伯令嬢の場合
カルロス様と私たち夫婦は、揃って王都にあるお屋敷に帰ってきた。
カルロス様はミランダ様のいいなりだった侍女たちを一掃し、新しく使用人を雇い入れてくださった。
ルーファス様と一緒に王宮にもお出かけになって、国王陛下に第二王子の仕事についても提言してくださったという。
いくら貴族という地位にいても、働く人と働かない人を同列に扱うのはおかしいし、仕事がひとりに偏るのもよくないことだ。
せっかく新しい建物を造って業務の効力化を図るのなら、身分に関係なく適材適所が望ましいと進言なさったのだ。
さすが、元筆頭公爵様。
その言葉の重みは、誰よりも国王陛下に届いたことだろう。
その証拠に、ルーファス様がお仕事に復帰しても前ほど遅い帰宅にはならなかった。
私と一緒にきちんと朝食と夕食を食べられるし、夫婦の会話も増えつつある。
寝る前に少しのお酒を嗜みながら、一日の出来事をお喋りするのは至福の時間だ。
私は少しずつだけど、公爵夫人としてのマナーも学び始めた。
ゆっくりゆっくりだけど、いつかルーファス様の妻として王宮でも認められるようになりたいからだ。
「リアはそのままでいいんだよ」
ルーファス様は甘やかしてくださるけれど、私が望んだことなの。
せっかく初恋の王子様と結婚できたのだから、私もルーファス様にふさわしい貴婦人を目指すのだ。
初恋は実らないというけれど、諦めなくてよかった!
もうすぐ生まれてくる子どもと、ルーファス様。
そしてカルロス様やエラや、領地の人たちみんなと平和な日々が続いていくように願っています。
おしまい