夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
「久しぶりって、ふたりとも冬休み会ったりとかしてないの?」
わたし達の挨拶を聞いて、凛ちゃんが驚いている。
でも、皇月先輩は受験生でもあるし(夢ヶ丘学園は大学附属校だけど)何より人気モデルだ。
わたしが気やすく会えるような人じゃないことはよく分かっている。
実際、「彼女」と全校生徒に紹介されたものの、お互い連絡先すら交換してないし。
学校でも、学年が違うからそんなに会えるわけじゃない。
あの時のことは全部夢だったんじゃないかと思ってしまうくらい現実感がない。
「そうだ! 音夢ちゃん今日撮影の後って何か予定ある?」
「いえ、ないですけど」
友達もいないし、両親も出張で家を空けているし、撮影が終わったら自宅でひとりのんびりするつもりだった。
「よし、じゃあ今日は美夢ちゃんも一緒に行ってもらおう」
「「え?」」
凛ちゃんの言葉に、わたしと皇月先輩の声が重なる。