夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
どういうこと?と訊こうとした時、
「それではスタンバイお願いします」
タイミング悪くスタッフから声がかかった。
「とりあえず、撮影終わったらそのまま帰らないで待ってて」
凛ちゃんはそう言うと、セットの方へ向かった。
「音夢ちゃんもう少し前に出て、目線はこっちね」
「凛ちゃんそのままのポーズで」
そして、久しぶりの撮影が始まった。
今日は乙女系女子の音楽会をテーマにした衣装で、わたしは鍵盤や音符柄の入ったワンピースとヴァイオリン型のバッグを持っている。
「―はい、OKです。お疲れ様でした」
午後4時、無事に撮影が終了した。
「ありがとうございました」
関係者に挨拶をして、楽屋へ戻ろうとした時。
「音夢ちゃん、ちょっと待って!」
廊下で凛ちゃんに声をかけられて、慌てて立ち止まった。
「美雲さんが車出してくれるから、そのまま駐車場に行こう」
「え?」
どういうこと?
この衣装のままでいいの?