夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
すぐそばに、東京文化ホールと書かれた看板が見える。
「関係者席の入り口だからこっちね」
車から降りると、美雲さんが案内してくれた。
入口の前で美雲さんが受付の人にチケットを2枚見せると、パスを渡された。
「それ、つけて入ってくれる?」
美雲さんに言われて、渡されたパスを首にかけて中に入る。
「Mille Fleurs(ミル・フルール)スペシャルコンサート?」
ロビーに貼られているポスターを見て、やっと何をしに来たのかわかった。
「もしかして、ミルフルのコンサート観るんですか?」
「そうよ。関係者席のチケット用意してもらったの。もう七星くんは席で待ってるから」
「え!?」
ミルフルのコンサートを観られるの!?
信じられない気持ちで、美雲さんの後をついていく。
「ギリギリセーフだな」
席に着くと、隣には本当に皇月先輩が座っていた。
席についてすぐ、照明が落ちてコンサートが始まった。
拍手と歓声に包まれる中、白いドレスで登場した3人の女性。
Mille Fleursは通称「ミルフル」と呼ばれている実力派アーティストだ。