夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
「地味子が少女趣味とかキモイ」
思い切り笑顔で如月さんが言った。
でも、瞳が笑っていない。
「自分の顔、鏡で見てからにしなよ」
そう吐き捨てるように言うと、さっさと歩いて行ってしまった。
如月さんの言葉が胸に突き刺さる。
そんなの、わたしだってわかってるよ。
だけど、せめて遠くから見て憧れるくらい、いいじゃない。
スマホの画面に映る皇月先輩と凛ちゃんの笑顔が涙で滲んでいく。
思わずしゃがみこんで泣いていたら、
「大丈夫?」
突然、頭上から声が聞こえてきた。
ビックリしてはじかれたように顔を上げると、そこにいたのは今まさに話に出ていた人。
「……皇月先輩?」
ウソでしょ? なんでこんなところに皇月先輩がいるの?
「とりあえず、こっちおいで」
皇月先輩は、そう言ってわたしの腕を引いて歩き出した。
「ここなら、今誰もいないから」
そう言って案内されたのは、生徒会室だった。