夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

宣戦布告の卒業式


季節が少しずつ冬から春へと変わり始めた3月月3日。

ひな祭りの今日は夢ヶ丘学園の卒業式の日でもある。

会場は学園の近くにあるイベントホール。

有名アーティストがコンサートを開催するような大きなホールだ。

学園の王子様の卒業式ということで、もうすでに泣きそうになっているファンの女子生徒もいる。

皇月先輩は附属の大学へ進学することになっているけど、キャンパスは高校と違う所にあるから、卒業してしまったら学校で会うことはできなくなってしまうんだ。

卒業式は順調に進み、いよいよ終りに近づいてきた頃。

「答辞。卒業生代表、皇月 七星」

司会の先生に名前を呼ばれた皇月先輩が、ステージに立った。

周りから「やっぱり答辞は皇月先輩なんだ」とヒソヒソ声で話しているのが聞こえる。

広い会場で一年生は二階席にいるから先輩の姿は遠目にしか見えないけれど、やっぱり先輩は一際輝いて見える。
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