夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
でも、如月さんがそんな私の気持ちを察したように「もう前みたいなことはしないから安心して」と言った言葉を信じて、話を聞くことにした。
「場所変えていい?」と尋ねてきた如月さんに頷いて、ふたりでホールの外にある広場へ移動した。
三月とは言えまだ風は肌寒い。
だけど、あと数週間もすればこの広場にある桜も咲き始めるんだよね。
なんてぼんやり考えていたら、
「……落ちちゃった」
わたしと如月さん以外誰もいない静かな空間に、ぽつりと落ちた言葉。
何のことだかわからずに戸惑っていると、
「スウィガの最終選考」と言われて、そういえば受けるって話していたことを思い出した。
「皇月先輩にもフラれちゃったし、もう最悪」
そう言いながら自嘲気味に笑う如月さんは、今までとどこか雰囲気が違う気がした。
うまく言葉にできないけど、何かが吹っ切れたような、刺々しさがなくなったような感じ。