夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

怒ったようにそう言いながらも、如月さんの表情はどこか優しくて。

初めて認めてもらえた、そんな気がして嬉しくて。

「わたしも遠慮しないから!」

宣戦布告されているのに、笑顔でそう答えていた。

「なんか、月島さん変わったよね」

「え?」

「なんていうか……明るくなった」

「そう、かな」

だとしたら、それは間違いなく音夢としてモデル活動を始めたおかげだ。

「……今まで色々ごめん」

それはとても小さな声だったけど、わたしには確かに聞こえた。

恥ずかしそうにうつむいた如月さんに、わた
しは右手を差し出した。

「これからはお互い正々堂々闘おう?」

「……うん」

一瞬戸惑いながらもわたしの手を握ってくれた如月さんの笑顔は、やっぱり綺麗だなと思った。
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