夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

桜色メモリー


【凛Side】


「おはようございます、よろしくお願いします」

期末試験を終えて春休みに突入した3月半ば。

撮影でスタジオに入ったわたしは元気に挨拶をした。

「あ、音夢ちゃん! おはよう」

「凛ちゃん、おはよう」

スタジオの隅でスタッフさんと打ち合わせをしている音夢ちゃんを見かけて声をかけると、笑顔で返してくれた。

その笑顔は最初に撮影に来た時とは違って、すっかり場慣れした笑顔だ。

「見たよ~今月のスウィガ! 音夢ちゃんのソロ、可愛かった~」

音夢ちゃんに会ったら真っ先に伝えようと思っていたことを口にすると、

「ホント? ありがとう」

音夢ちゃんが少し照れたように笑って言った。

そう、今月発売されたスウィガで、音夢ちゃんは初めてソロ撮影に挑戦している。

赤を基調にしたちりめんプリントのジャンパースカート。

日本人形を思わせる和風ロリータだった。
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