夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
こんなに至近距離で皇月先輩を見たのは初めてで、間近でみるとそれはもうこの世の生き物とは思えないくらい眩しくて。
あまりの眩しさと近さに慌てて視線を逸らす。
心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしてる。
こんな時にドキドキしてる場合じゃないのに。
「悔しかったら、あいつらを見返すくらい変わればいい」
「え?」
どういうこと?
訊き返そうとした、その時。
「七星、いるか~?」
突然、そんな元気な大声と共に勢いよく扉が開かれた。
「虹希、そんなでかい声出すなよ」
皇月先輩が振り返って不機嫌そうに言うと、
「わりぃ、取り込み中だった?」
“こうき”と呼ばれた男の子がわたしと皇月先輩を交互に見て言った。
「思い切り取り込み中だろ」
「……って七星、なに女の子泣かせてるんだよ?」
「違うって。俺が泣かせたんじゃない。それより、例の件だけど」