夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

「もしかして、皇月先輩も知ってたんですか?」

「ああ」

だからあの時平然としていたんだ。

「でも、いいんですか? わたしなんかとつき合ってるなんてあんな堂々と言っちゃって」

すでにネットニュースには、『新人モデルの売名行為じゃないか』とか、『どうせすぐ別れるのに』とか誹謗中傷的なコメントも書きこまれている。

「“わたしなんか”って言わないでもっと自信持てよ。おまえは俺だけのお姫様なんだから」

「……!」

な、な、なんてことを言い出すの!?

皇月先輩ってこんな甘いこと言う人だった?

「先輩ってそんなこと言う人でした?」

恥ずかしさのあまり思わずそう聞くと、

「美夢の前でしか言わない」

なんて、またまた信じられないことを言われて。

「あ~空気甘すぎ。あとはふたりでお好きにどうぞ」

凛ちゃんがそう言って席を移動した。

「美夢、顔赤い」

「せ、先輩のせいです!」

わざとらしく顔を覗きこまれて、慌てて視線を逸らして答えると、先輩はおかしそうに笑った。
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