夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
初めてのテレビ出演で、収録直前スタジオの袖で緊張してガチガチになっていると。
「大丈夫。俺もいるから」
皇月先輩がそう言って、わたしの手をそっとつないでくれた。
その瞬間、今までの緊張がうそみたいにふっと解けた。
先輩の言葉は、初めて会った時からずっとわたしを支えてくれている。
まるでシンデレラにかけられた魔法みたいにわたしを変えてくれる。
“わたしなんかって言うなよ”
初めて会った時に言われた言葉を思い出しながら、瞳を閉じて深呼吸する。
大丈夫、わたしにもできる。
心の中でそう唱えて。
「――それでは登場して頂きましょう、人気モデルの皇月七星くんと、音夢ちゃんです」
先輩と手をつないで、笑顔でスタジオへ向かった。