夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
「ああ、見つかったのか?」
「この子にしようと思うんだ」
ふたりしてわたしの存在を無視して何やら話してるけど、なんのことだかさっぱりわからない。
例の件ってなんだろう?
「え、マジで? この子が今年のシンデレラ候補?」
シンデレラ? なんのこと?
ふたりが何の話をしているのか、全くわからない。
「……あの、何のお話ですか?」
おそるおそる尋ねると、
「ああ、新入生だからまだ知らないか」
皇月先輩が、わたしの方に視線を戻して言った。
「夢ヶ丘学園には、年に一度、生徒会が主催するプリンセス・プロジェクトっていう学校行事があるんだ」
「プリンセス・プロジェクト?」
訊き返したわたしに、皇月先輩が詳しく説明してくれた。
「そう。いわゆるミスコンだけど、ちょっと違うのが、女子が制服姿でノーメイクの状態からドレスアップした時の変身ぶりを見て、評価するんだ。それで優勝すると、学園主催のクリスマス・パーティーの時に好きな人とダンスできる権利がもらえる」