夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

「ああ、見つかったのか?」

「この子にしようと思うんだ」

ふたりしてわたしの存在を無視して何やら話してるけど、なんのことだかさっぱりわからない。

例の件ってなんだろう?

「え、マジで? この子が今年のシンデレラ候補?」

シンデレラ? なんのこと?

ふたりが何の話をしているのか、全くわからない。

「……あの、何のお話ですか?」

おそるおそる尋ねると、

「ああ、新入生だからまだ知らないか」

皇月先輩が、わたしの方に視線を戻して言った。

「夢ヶ丘学園には、年に一度、生徒会が主催するプリンセス・プロジェクトっていう学校行事があるんだ」

「プリンセス・プロジェクト?」

訊き返したわたしに、皇月先輩が詳しく説明してくれた。

「そう。いわゆるミスコンだけど、ちょっと違うのが、女子が制服姿でノーメイクの状態からドレスアップした時の変身ぶりを見て、評価するんだ。それで優勝すると、学園主催のクリスマス・パーティーの時に好きな人とダンスできる権利がもらえる」
< 14 / 156 >

この作品をシェア

pagetop