夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
わたしたちが来ているのは某有名高級ホテル内にある最近人気急上昇中のデザートビュッフェで、毎回予約が殺到している場所。
季節ごとに限定プランがあって、今は夏らしく童話の人魚姫をモチーフにしたスウィーツになっている。
「それにしても誕生日が七夕で好きな人と一緒なんてロマンチックだよね」
お皿いっぱいにスウィーツを乗せて席に戻りながら、凛ちゃんが言った。
「そうかな」
「そうだよ。これはもう運命の出会いって感じだよね」
「運命、か」
確かに、小学生の頃偶然出逢っていた人と同じ高校で再会したということも含めて、皇月先輩とは縁があるし、凛ちゃんの言う通りこれが運命の出会いなのかもしれない。
「美夢、これ」
そんなことを考えていたら、突然そんな言葉と共に目の前に小さな箱が差し出された。