夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

「え?」

驚いて顔を上げると、向かいの席に座っている皇月先輩がちょっと恥ずかしそうに視線を逸らしている。

「あの、これって…」

「だから、誕生日プレゼント」

「わたしがもらっていいんですか?」

「うん」

「ありがとうございます」

まさか皇月先輩から誕生日プレゼントをもらえるなんて思っていなくて信じられない気持ちで箱を開けると、中から出てきたのは香水だった。

「これ、Pinky Candyの数量限定香水じゃない!」

隣で凛ちゃんがはしゃいだ声を上げた。

そう、箱の中に入っていたのは原宿ファッションの中でも人気の高いブランド、Pinky Candyが出している数量限定の香水だったんだ。

でも、確か発売数日で完売してもう手に入らないと言われていたはずなんだけど……と疑問に思っていると、「美雲さんに用意してもらった」と皇月先輩が口にした。
< 143 / 156 >

この作品をシェア

pagetop