夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

「2枚あるから彼氏と一緒にどうぞ」

「…えっ…」

銀河くんもわたしが皇月先輩とつきあっていること知っているんだ。

「ネットニュースにもテレビにも出てたし、知らない人いないんじゃない?」

まるでわたしの心を読んだかのように銀河くんが笑いながらそう言った。

「音夢ちゃんの彼氏って結構独占欲強いんだね」

「えっ!?」

「だってあんな風に堂々と宣言するってことは、裏を返せば “こいつは俺のだから手を出すな” って言ってるようなものだし」

「そうなんですか?」

皇月先輩ってあまり自分の気持ちを言葉にしない人だから、そんな風に思ってるとは考えられないんだけど。

「音夢ちゃんも有名になってきてるから、皇月くんも心配なのかもね」

銀河くんの言葉に思わず笑ってしまった。

「笑うところじゃないんだけどな」

「だって、皇月先輩に心配されるほど人気ないと思うし」

「そういう自覚ないところが可愛いんだけどね」

「え?」

「いや、なんでもない。お疲れ様でした」

銀河くんは笑顔でそう言ってスタジオをあとにした。

緊張したけど、いい経験になった1日だったな。
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