夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

「音夢ちゃん、今度七星くんとデートするんでしょ!? 楽しんで来てね」

撮影が終わって楽屋へ戻る途中、凛ちゃんが声をかけてくれた。

「うん、ありがとう」

凛ちゃんには、仕事でétoileの銀河くんと共演したことやライブに招待してもらったこと、皇月先輩に美雲さんを通して一緒に行きたいと伝えて了解をもらえたことをラインのメッセージですでに伝えていた。

今回は皇月先輩と初めてふたりきりで行くことになっているから、事実上の初デートになるんだ。

つき合い始めて半年以上経つけど、お互い学校や仕事で忙しいのと、周りの騒ぎも考えてふたりきりでどこかへ出かけることが全然できていなかったから。

「でも、初めて七星くん以外の男の人と共演して誘われたライブで初デートって、仕事とはいえ七星くんもちょっと複雑かもね~」

「え、そうなのかな……」

「でも、七星くんってあまり自分の感情表に出さない人だから、たまにはヤキモチ妬かせるくらいでいいと思うよ」

そう言って凛ちゃんがいたずらっ子のように笑った。

ヤキモチか。皇月先輩がヤキモチ妬くところなんて想像つかないな……。
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