夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

「王子様達がお迎えに来てるわよ」

悪戯っぽく笑いながらそう言われてドアを開けると、

「撮影お疲れ~!」

笑顔の雨沢先輩と、少し疲れたような表情を浮かべる皇月先輩がいた。

「七星はまだ他の仕事があるから、着替え終わったら駅まで一緒に行こう」

「……いいんですか?」

「うん、もちろん。外の休憩スペースで待ってるから」

雨沢先輩がそう言ってくれて、わたしはその言葉に甘えることにした。

メイクを落として制服に着替えたら、そこにはいつもの地味子のわたしがいる。

なんだかシンデレラの魔法が解けてしまったような気分だった。

「さっきの美夢ちゃん、すごく良かったよ」

駅までの道を歩きながら、雨沢先輩が笑顔で褒めてくれた。

「そんなことないですよ。わたし、皇月先輩にも凛ちゃんにも迷惑かけちゃって、本当に自分が情けなくて……」
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