夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
「確かに、あれじゃムリかもね~」
如月さんもそう言ってクスクスと笑っている。
「ねぇねぇ、もし読モになれたら、凛ちゃんに会えるのかな?」
「うん。会えるんじゃないかな」
「そしたら妃花ちゃん、サインよろしくね!」
「ちょっと、気が早すぎだって~」
如月さんを中心に楽しそうに盛り上がる女の子達。
そんな女の子達の輪に入れず、ただ自分の席で静かに過ごすわたし、月島 美夢 は、クラスで 「地味子」と呼ばれ、いつもひとりで過ごしている。
黒髪を二つ結びにしてメガネをかけて、スカートは校則通りのひざ下丈をキープ。
小さな一重の目に、百五十センチの特に目立たない地味な顔立ち。
我ながら、まさに絵に描いたような地味子だと思う。
小さな頃から、よく「名前は可愛いのに」って言われてきた。