夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
「じゃあ、そういうことだから。考えておいてね」
そう言うと、雨沢先輩は先に指導室を出た。
「え~落選しちゃったの!?」
教室に入ったとたん、聞こえて来た声。
視線を向けると、如月さんの席の周りに取り巻きの女子数人が集まっていた。
「うん。昨日の夜に当落メール届いたんだけど、落選しちゃった。凛ちゃんと皇月先輩に会いたかったのに~」
輪の中心で如月さんが悔しそうに言った。
と言うことは、さっきの雨沢先輩の話は本当だったんだ。
「そういえば月島さんも皇月先輩と凛ちゃんのファンだったよね?」
そう言って取り巻きのひとりがわたしの方を見てきた。
とたんに他のクラスメートの子達までがわたしの方に視線を向けてきて、小声で「え、そうなの?」「あの地味子が?」なんて囁き合ってるのが聞こえる。
「月島さんも応募したんじゃないの?」
「もしかして当選したとか?」
興味津々の瞳でそう言われたけど、もちろん本当のことなんて言えるわけがない。