夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

「いらっしゃいませ」

中に入ると優しそうな女性が出迎えてくれて、わたしは届いた招待状を出して見せた。

「それでは、こちらへどうぞ」

案内されて通されたのは、応接室らしき立派な部屋。

シンプルだけど高そうな黒い革張りのソファと、これもまた高そうなテーブル。

いかにもザ・ビップルームって感じがするけど、わたしなんかが入っていいのかな。

「担当を呼びますので、おかけになってお待ちください」

「あ、はい」

言われてソファに座ると、ふかふかで座り心地が良かった。

少しして、ドアをノックする音が聞こえた。
返事をしてドアが開くと、

「音夢ちゃん、いらっしゃい! 来てくれてよかったわ」

美雲さんが嬉しそうな笑顔でそう言って部屋に入ってきた。

美雲さん、今わたしのこと「音夢」って呼んだ?

「今からもうあなたは音夢よ。さぁ、早速支度しましょう」

美雲さんに案内されてやってきたのは、たくさんの洋服が飾られた部屋。
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