夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

「はい、出来上がり!」

声を掛けられて目の前に映る自分は、いつもより大きくてキリッとしたクールなネコ目になっていた。

でも、唇や頬は甘いピンクを使っていて、可愛らしさもある。

「音夢ちゃんの顔にはアリス風ピュアメイクよく合うね」

「ホントですか?」

「うん。すごく可愛い」

可愛いなんて言われなれてないから、恥ずかしいな。

「行ってらっしゃい!」

ヘアメイクさんに背中を押されて部屋を出ると、向かい側の部屋で待っていてくれた美雲さんに声をかけた。

「変身完了ね。それじゃあパーティー会場へ行きましょうか」

エレベーターで地下1階へ降りると駐車場があって、美雲さんに助手席に乗るよう案内された。

車で会場まで行くんだ。

確かに、この格好で電車移動なんてしたら注目の的だよね。

運転席に乗った美雲さんは、わたしがシートベルトをしたことを確認すると車を発進させた。

カーステレオから、今人気のアイドルソングが流れている。
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