夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

あ、この曲わたしが好きな曲だ。

心の中で歌いながら流れる景色を眺めていると、15分ほどで会場となるホテルへ到着した。

関係者用の裏口から中に入って、控室へ向かう。

「失礼します」

美雲さんと一緒に控室の中へ入ると、すでに皇月先輩と凛ちゃんが楽しそうに話していた。

「美雲さん、おはようございます」

「おはよう」

凛ちゃんに笑顔であいさつを返す美雲さん。

「音夢ちゃんも来てくれたんだね」

「……え」

凛ちゃんに名前を呼ばれて、ビックリ。

わたしのこと、覚えてくれていたんだ。

「その衣装、すごく可愛い! 音夢ちゃんに合ってる」

「…あ、ありがとう…」

思いがけない褒め言葉に、嬉しいのと恥ずかしいのとでお礼を返すのが精いっぱい。

この前も思ったけど、凛ちゃんってすごく気さくな子なんだな。

モデルさんって、もっと気取っててキツイ感じなのかなって思っていたけど、凛ちゃんは全然違う。
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