夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

「ちゃんと来たんだな。すっぽかすかと思った」

皇月先輩が安心したようにそう言った時、控室のドアをノックする音が聞こえて。

「そろそろ準備お願いします」

ドアが開くと同時に、スタッフさんらしき人が顔を覗かせてそう言った。

「行こうか」

皇月先輩を先頭に、3人で控室から会場へ向かう。

扉の前で待機していると、

「それでは、早速スペシャルゲストをお呼びしましょう! どうぞ~」

マイクを通した司会の声と歓声が聞こえて来た。

その言葉を合図に扉が開かれて会場の中へ入ると、さっきよりさらに大きな歓声に包まれた。

「モデルの皇月 七星くん、夜咲 凛ちゃん、読者モデルの音夢ちゃんで~す!」

司会の人が紹介すると、

「七星く~ん」

「凛ちゃ~ん」

ふたりの名前を呼ぶファンの子達の声が響いた。

わたしは、そんなふたりの横でただ立っていることしかできない。

会場の子達の「あんた誰?」っていう視線を感じて、ますます緊張してしまう。
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