夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
それはつまり「可愛いのは名前だけ」という意味で、わたし自身は可愛いどころかブスだと遠回しに言われている気がして。
そんな風に言われる度に、わたしは自分の名前が嫌いになっていった。
美しい夢なんて、どう考えてもこんなわたしには似合わない名前をつけたのはお母さん。
少女漫画やキラキラしたものが大好きなお母さんが考えた名前。
わたしの両親は共働きで、家に帰ってくるのはいつも深夜。
海外の仕事で数週間家にいないなんてこともしょっちゅうだ。
だけど、教育には厳しくて、小さな頃から習い事や家庭教師をつけられていた。
おかげで、学校の成績はいつもトップ。
だから、小学生の頃からあだ名は「ガリ勉地味子」だった。
「あ~それにしても皇月先輩カッコイイよねぇ」
机に広げた雑誌を見ながら、うっとりした表情でつぶやく女の子達。