夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
プリンセス・プロジェクトに出場する生徒は、当日配られる候補者一覧で発表されるけれど、生徒会指名のシンデレラ候補だけはサプライズとして登場する瞬間まで秘密にされているんだとか。
つまり私は、ステージに上がる瞬間までシンデレラ候補であることをみんなに知られてはいけないんだ。
「今年のサプライズ出場者って誰なんだろうね?」
「すごい気になる~」
時々そんな会話が聞こえてくる度にドキドキしながら、ついにプロジェクト当日を迎えた。
会場となるのは夢ヶ丘学園の敷地内にあるイベントホール。
数年前に建てられたばかりの、入学式や卒業式などが行われる立派なホールだ。
クラスごとに席に着いて開始を待ちながら、配られたプログラムを真剣な表情で見ている。
そして開始時間になると会場の照明が消え、音楽が流れ始めた。
「夢ヶ丘学園の生徒の皆さん、プリンセス・プロジェクトへようこそ!」
聞き覚えのある声だなと思ったら、ステージに現れたのは生徒会副会長の雨沢先輩だった。
ステージの中央でマイクを手にスポットライトを浴びている。
とたんに会場から女子達の歓声が聞こえてきた。
雨沢先輩って、やっぱり女子から人気なんだ。
周りの興奮ぶりを見て、冷静にそんなことを思いながらステージを見る。