夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
最初にスクリーンに映し出された女の子とはまるで別人のよう。
会場からも、「おお~」というどよめきが起きている。
「2年A組 石井 美里です。憧れのお嬢様服が着てみたくて参加しました。よろしくお願いします!」
緊張しながら石井さんが自己紹介をすると、会場から拍手が起きた。
その後も、最初に制服姿の素顔の写真がスクリーンに映されたあと、ドレスアップした女の子達がステージに登場するという演出でプロジェクトは進行して行った。
そしていよいよ最後のひとりとなった時、私は暗転になったタイミングでこっそり会場を出て、控室へと向かった。
事前に雨沢先輩から、「最後のひとりの順番が来たら、控室へ来るように。準備は全部こっちに任せて」と言われていたから。
メイクも衣装も、何も自分では用意していないけど、本当に大丈夫なのかな?
不安を抱えながら、控室のドアをノックする。
「はい」
聞こえてきた返事が、なんとなく聞き覚えがある声のような気がするのは気のせいだろうか。