夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

「失礼します」

ドアを開けた瞬間、わたしは自分の目を疑った。

だって、控室にいたのは……

「美雲さん?」

美雲さんと、いつもわたしのヘアメイクを担当しくれていた雪村さんだったから。

どうしてふたりがここにいるの…?

「サプライズ成功ね」

わたしの驚きぶりを見て、美雲さんが笑顔で言った。

一体何がどうなっているの……?

「私たち、夢ヶ丘学園の卒業生なのよ」

「え?」

この学校の卒業生?

「毎年、プリンセス・プロジェクトでシンデレラ候補にメイクをしてるの」

雪村さんがそう言うと、

「私は衣装の担当ね」

美雲さんが続けて言った。

「なんてのんびり説明してる場合じゃないわね。急いで準備しなくちゃ」

「そうね。さぁ、こっちに座って」

美雲さんに促されて、控室の奥にある鏡の前に座る。

そして雪村さんに手際良くメイクをしてもらったあと、美雲さんが用意してくれていた衣装に着替えた。
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