夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

「今日、どうしても外せない予定があるから、掃除当番代わってくれない?」

やっぱりそうか。

予想通りの言葉に、わたしは内心ため息をついた。

本当はイヤだって言いたい。

たまには他の人にお願いして、って言いたい。……だけど。

「代わってくれるよね、月島さん?」

さっきの甘えた口調とはまるで違う有無を言わせない口調で言われて、わたしは頷くことしかできなかった。

「ありがと~! じゃあ、よろしくね」

如月さんは嬉しそうな笑顔でそう言うと、友達と一緒に教室を出ていった。

結局わたしは如月さんグループの掃除担当場所である資料室へ向かい、ひとりで掃除をすることになってしまった。

「…はぁ…」

床をほうきで掃きながら思わずため息が出る。
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