夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

どうして、凛ちゃんはこんなに優しいんだろう。

ライバルのはずなのに。本当は好きな人にフラれて辛いはずなのに。

「どうしてそんなに優しくしてくれるの?」

「……わかるから」

「え?」

「わたしも学校でいじめられて、自分に自信がなくて辛かった時があるから、音夢ちゃんの気持ちよくわかるの。正直言うと、音夢ちゃんが七星くんとうまくいったら悔しいなって思う気持ちもあるけど。応援したいなって気持ちもホントなの」

ああ、そうか。お茶会の時、言ってたよね。

同じ苦しみや痛みを知っているから、だからこんなに優しくできるんだ。

「……ありがとう……」

わたしも、凛ちゃんみたいな人になりたい。

凛ちゃんみたいなモデルになりたい。

「結果、報告してね」

「……うん」

怖いけど、不安だけど、最強で最高のライバルが背中を押してくれたから。

勇気を出して、伝えよう。

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