夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

「七星~!」

突然、沈黙を破って大きな声が響いた。

この声はきっと……

「虹希、もう少し声のボリューム下げろよ」

呆れ顔で言った皇月先輩。

振り返ると、雨沢先輩がいた。

「何も言わずにいなくなるから、慌てて探したんだぞ。もうダンス始まるから早く戻れよ!」

雨沢先輩に急かされて、慌てて会場へ戻る。

さっきの「ありがとう」って、どういう意味なんだろう。

聞きたいけど、今はそれどころじゃない。

「さあ、お待たせしました! 皆様お待ちかねのダンスタイムです」

雨沢先輩がステージに立ってマイクでそう言うと、会場から拍手が起きた。

そしてステージに揃った吹奏楽部の生演奏が始まると、みんなダンスを踊り始めた。

「踊るか」

「え?」

不意に皇月先輩に言われて、慌てて顔を上げる。

「プロジェクト優勝者の権利。月島は俺と踊るってことだろ?」
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