夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

一通り掃除を終えて帰ろうと昇降口へ向かって廊下を歩いていた時。

「あ~ホントあの地味子うざいよねぇ」

どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。

声が聞こえた方へ視線を向けると、昇降口とは反対側に面した方にある中庭に如月さん達がいた。

予定があるって言ってたのに、まだ帰ってなかったの?

「さっきも皇月先輩のことうっとりした顔で見つめちゃってさぁ」

「こっち見んなブスって感じ?」

もしかして……わたしの話?

思わず立ち止まって話を聞いていると、

「でも予定あるとかウソつけば掃除当番代わってくれるから便利だよねぇ」

如月さんの声でそんな言葉が聞こえて来た。

ウソってことは、予定なんかなかったの?

わたしに掃除当番を押し付けたかっただけなの?
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