夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

当時、既に週2回タレント養成所に通っていた俺は、その日もいつものように放課後養成所でレッスンを受けていた。

だけどもともと人見知りだった俺は、その頃グループでのレッスンがとても苦手で、その日も憂鬱な気持ちでレッスンを受けていた。

一緒のグループでレッスンを受けている子達が俺のことを嫌っているのがわかっていたから、尚更嫌だったんだ。

なんとかレッスンを終えて帰ろうとした時、偶然通りかかったロッカールームで同じグループの子達の話声が聞こえてきて。

「皇月ってなんかキモイよな~」

「うん、ほとんど喋らないし何考えてるかわかんないし」

「女の子みたいな顔してるしさ。実はあっち系の人だったりして」

「うわ~もっとキモイ」

俺の悪口を言っているんだってことはすぐにわかった。

容赦なく飛び出す悪意に満ちた言葉達が胸に突き刺さった。
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