夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
レッスンを終えた帰り道、人通りの少ない道端で溢れてくる涙を堪えきれずにしゃがみこんで泣いていたら、
「大丈夫? どこか痛いの?」
突然誰かに声をかけられた。
顔を上げると、知らない女の子が心配そうな表情で俺を見つめていた。
ランドセルを背負っているから、学校帰りなんだろう。
「誰かにいじめられてるの?」
黙ったままの俺に、女の子はもう一度尋ねた。
悪口もいじめというんだろうか。
でも、もとはといえば人見知りでみんなと話せない自分が悪いのかもしれない。
どうせみんなに迷惑かけて嫌われるんだから、レッスンなんか行ったって意味ないんだ。
自分なんか何をやってもダメなんだ。
「僕なんか何やってもダメなんだから、もうやめた方がいいんだ」
どうしようもなく絶望的な気持ちになって、零れ落ちた言葉。
もう何もかも投げ出したくなった。逃げ出したくなった。
別にレッスンなんて行きたくて行ってるわけじゃない。