夢より素敵な時間を、初恋のきみと。
「おはよう」
なんとなくイヤな予感がしながらも挨拶を返すと、
「ねぇねぇ、月島さんってまたスウィガの撮影ある?」
瞳をキラキラさせながら聞いてくる日野さん。
「あるけど……」
「じゃあ、今度凛ちゃんのサインもらえるかな!?」
やっぱり、それが目的か。
如月さんグループの子達がわたしに話しかけてくる理由は、ほとんどが凛ちゃんのサインが欲しいから。
わたしのことを認めてもらえたからではないんだ。
でも、だからこそ思う。
もっと頑張って自分に自信をつけて、「人気モデルの音夢だ」って認めてもらいたい、って。
☆ ☆ ☆
「音夢ちゃん入りま~す」
スタジオにマネージャーの美雲さんの声が響く。
「よろしくお願いします」
周りのスタッフに挨拶をしながらスタジオに入る。
「音夢ちゃん、久しぶり~」
真っ先に笑顔で声をかけてくれたのは凛ちゃん。