夢より素敵な時間を、初恋のきみと。

「おはよう」

なんとなくイヤな予感がしながらも挨拶を返すと、

「ねぇねぇ、月島さんってまたスウィガの撮影ある?」

瞳をキラキラさせながら聞いてくる日野さん。

「あるけど……」

「じゃあ、今度凛ちゃんのサインもらえるかな!?」

やっぱり、それが目的か。

如月さんグループの子達がわたしに話しかけてくる理由は、ほとんどが凛ちゃんのサインが欲しいから。

わたしのことを認めてもらえたからではないんだ。

でも、だからこそ思う。

もっと頑張って自分に自信をつけて、「人気モデルの音夢だ」って認めてもらいたい、って。

☆ ☆ ☆

「音夢ちゃん入りま~す」

スタジオにマネージャーの美雲さんの声が響く。

「よろしくお願いします」

周りのスタッフに挨拶をしながらスタジオに入る。

「音夢ちゃん、久しぶり~」

真っ先に笑顔で声をかけてくれたのは凛ちゃん。
< 98 / 156 >

この作品をシェア

pagetop