だって、そう決めたのは私
「で、暁子は本当はどう思ったの」
「そうねぇ。何ていうか、渉くんってマスコットみたいじゃない? 隣にいるだけで安心感があるというか。見た目で判断したらいけないけれど、彼は裏切ったりしないような気がしちゃう」
「だから、一緒にいても大丈夫かなって?」
「うん……でも、悪いよね。こんなおばさんがさ、そんな風に判断するなんて」
暁子がシュンと下を向く。五十嵐くんをきちんと恋愛対象として真剣に考えている結果だろう。あぁ暁子も恋をし始めている。それは淋しくもあるが、喜ばしいことだ。
「あのね、暁子。私は、あなたの気持ちが最優先だと思ってるけどね。でも、五十嵐くんって本当に悪い子ではなくて。一生懸命に影で努力してるような不器用な子でさ」
「……あぁ、うん。分かるかも」
「百合に言わせれば、隠し事も出来ないような奴で。例え誰かに手柄が取られたとしても、本当に心からおめでとうって言える。そういう子なんだって。きっと皆ちゃんと見てるのよね。今回のことね、相当悩んでたみたいなんだけど、後輩たちがあれこれ相談に乗ってくれたんだって」
五十嵐くんの話を聞いていた時に背後にいた子たちを思い出す。とても心配そうに、それでいて頑張れって拳を握っていた。あれだけ部下に好かれている。当然反りが合わない人もあろうが、あまりそれは耳にしたことがないし。彼との今後を暁子が真剣に考えたとしても、私が反対するような事柄は何もない。
「そうなんだ……そっか。本当にいい子なんだね」
「うん。そこは私も保証する。ただ、あまりプライベートは知らないから、百パーセントとは言い切れないけど」
「まぁそれはさ、ほら。モカ様見れてばだいたい分かるでしょう。すごく大事にされてるもの、あの子」
「あぁ、それはそうだ」
丁寧にブラッシングされ、毛艶も良い。モカ様は本当に大切に、まるでお姫様のように扱われている気がする。ちゃんと五十嵐くんの言うことを聞いているし。獣医の偏見だろうが、動物に信頼されている人は、きっと悪い人じゃない。
「そうねぇ。何ていうか、渉くんってマスコットみたいじゃない? 隣にいるだけで安心感があるというか。見た目で判断したらいけないけれど、彼は裏切ったりしないような気がしちゃう」
「だから、一緒にいても大丈夫かなって?」
「うん……でも、悪いよね。こんなおばさんがさ、そんな風に判断するなんて」
暁子がシュンと下を向く。五十嵐くんをきちんと恋愛対象として真剣に考えている結果だろう。あぁ暁子も恋をし始めている。それは淋しくもあるが、喜ばしいことだ。
「あのね、暁子。私は、あなたの気持ちが最優先だと思ってるけどね。でも、五十嵐くんって本当に悪い子ではなくて。一生懸命に影で努力してるような不器用な子でさ」
「……あぁ、うん。分かるかも」
「百合に言わせれば、隠し事も出来ないような奴で。例え誰かに手柄が取られたとしても、本当に心からおめでとうって言える。そういう子なんだって。きっと皆ちゃんと見てるのよね。今回のことね、相当悩んでたみたいなんだけど、後輩たちがあれこれ相談に乗ってくれたんだって」
五十嵐くんの話を聞いていた時に背後にいた子たちを思い出す。とても心配そうに、それでいて頑張れって拳を握っていた。あれだけ部下に好かれている。当然反りが合わない人もあろうが、あまりそれは耳にしたことがないし。彼との今後を暁子が真剣に考えたとしても、私が反対するような事柄は何もない。
「そうなんだ……そっか。本当にいい子なんだね」
「うん。そこは私も保証する。ただ、あまりプライベートは知らないから、百パーセントとは言い切れないけど」
「まぁそれはさ、ほら。モカ様見れてばだいたい分かるでしょう。すごく大事にされてるもの、あの子」
「あぁ、それはそうだ」
丁寧にブラッシングされ、毛艶も良い。モカ様は本当に大切に、まるでお姫様のように扱われている気がする。ちゃんと五十嵐くんの言うことを聞いているし。獣医の偏見だろうが、動物に信頼されている人は、きっと悪い人じゃない。