だって、そう決めたのは私
「ねぇカナコ。デートに誘ってみようかな」
「え? いいんじゃない?」
「うん。でもね、急に二人っていうのも心配で。何話したらいいか分かんなくなっちゃうし。だから、カナコも一緒に行かない?」
「そうねぇ。三人で何するかな。映画観るのは変だし、動物園は嫌だし。百歩譲って水族館? じゃなかったら、近場の観光とかかな」

 それはいいな、と一人頷く。五十嵐くんが平日休めるならば、休院日に予定を立てよう。浅草、スカイツリーに東京タワー。その辺りだろうか。あぁ鎌倉でもいいな。

「観光かぁ。確かにいいね。箱根まで行っちゃうと旅行って感じになっちゃうから、その手前だよね」
「そうだね。行って、鎌倉かなぁ」
「楽しそう。あ、それならさ。三人じゃなくって、四人で行かない?」
「四人……とは?」
「宏海くんでしょうよ。当然」
「えぇぇぇ……」
「いや、カナコのためにとかじゃなくって申し訳ないんだけど、私個人の意見です。だって、まだ渉くんのこと何も知らないようなもんじゃない? 当然彼の方も。だから傍にはいてもらいたいけれど、こう二人で話をしてもみたいし」

 うん、まぁそれは分かる。交際を始める前に、相手のことは知るべきだ。暁子も失敗しているから、その辺は慎重なのだろう。だけれども、そこに宏海を帯同させる意味が分からない。顎をもみながら、首を傾げた。 
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