だって、そう決めたのは私
「なになに、内緒話?」
饅頭とクッキーを両手に持った暁子が、私たちの間に割って入る。宏海は何かを購入することにしたのだろう。レジに並んでいる。
「夕飯どうしようかって話してたところよ」
「そうねぇ。何食べようか」
「酒はマストでしょ。暁子は、何食べたい」
「そうだなぁ。お昼がお蕎麦だったからね。うぅんと……」
暁子も一緒になって悩み始めると、五十嵐くんは嬉しそうに表情を緩めた。それがとても愛しいものを見るような目で、暁子のことが本当に好きなんだなと実感する。何だか私も嬉しかった。買い物を終えた宏海が合流して、四人で携帯を除き合いながらプチ旅行を締めくくる店を探す。そんな大したことのないやり取りだけれど、こんな時間、ずっと忘れていた気がする。
「宏海くんは何食べたい? 好き嫌いはある?」
「僕はないですねぇ。何でも大丈夫です」
「あ、待って。暁子。宏海はパクチー好きじゃない」
「あら。アジア系はやめておこうね。和食かイタリアンにしよう」
「それなら暁子さん。こちらはどうでしょう」
ススッと携帯を差し出す五十嵐くん。見事な執事ぶりである。暁子はそれを見ながら、ここは日本酒もある? と五十嵐くんに問う。真剣に見始めた二人を眺めて、きっと二人は上手くいくだろうと思った。今日のメインは、暁子と五十嵐くん。そう暁子には言ってある。だからここは、二人に任せよう。そう思ったところで、宏海がツンツンと袖を引っ張った。 ありがとう、と。
「なんで?」
「いや、パクチー」
「あぁ。宏海のことだから、入ってないものを食べれば良いとか思ったんでしょう。今日のメンツじゃ言いにくいもんね。だから気にしないで」
うん、と笑った宏海。あぁやっぱり好きだなぁ。そう思い始めた自分を打ち消して、私も得意じゃないからね、といたずらっぽく笑う。そうするのが、今の私の精一杯だった。
饅頭とクッキーを両手に持った暁子が、私たちの間に割って入る。宏海は何かを購入することにしたのだろう。レジに並んでいる。
「夕飯どうしようかって話してたところよ」
「そうねぇ。何食べようか」
「酒はマストでしょ。暁子は、何食べたい」
「そうだなぁ。お昼がお蕎麦だったからね。うぅんと……」
暁子も一緒になって悩み始めると、五十嵐くんは嬉しそうに表情を緩めた。それがとても愛しいものを見るような目で、暁子のことが本当に好きなんだなと実感する。何だか私も嬉しかった。買い物を終えた宏海が合流して、四人で携帯を除き合いながらプチ旅行を締めくくる店を探す。そんな大したことのないやり取りだけれど、こんな時間、ずっと忘れていた気がする。
「宏海くんは何食べたい? 好き嫌いはある?」
「僕はないですねぇ。何でも大丈夫です」
「あ、待って。暁子。宏海はパクチー好きじゃない」
「あら。アジア系はやめておこうね。和食かイタリアンにしよう」
「それなら暁子さん。こちらはどうでしょう」
ススッと携帯を差し出す五十嵐くん。見事な執事ぶりである。暁子はそれを見ながら、ここは日本酒もある? と五十嵐くんに問う。真剣に見始めた二人を眺めて、きっと二人は上手くいくだろうと思った。今日のメインは、暁子と五十嵐くん。そう暁子には言ってある。だからここは、二人に任せよう。そう思ったところで、宏海がツンツンと袖を引っ張った。 ありがとう、と。
「なんで?」
「いや、パクチー」
「あぁ。宏海のことだから、入ってないものを食べれば良いとか思ったんでしょう。今日のメンツじゃ言いにくいもんね。だから気にしないで」
うん、と笑った宏海。あぁやっぱり好きだなぁ。そう思い始めた自分を打ち消して、私も得意じゃないからね、といたずらっぽく笑う。そうするのが、今の私の精一杯だった。